コロナ禍における整形外科診療~2020年総括~

新型コロナウィルス感染症の恐怖と闘いながら病院一丸となって医療を行っております。
まだまだコロナの勢いは抑えることが出来ておらず患者さんも不安な気持ちで一杯だと推測されます。
しかし、私たち横浜鶴ヶ峰病院ならびに整形外科スタッフは歩みを止めることはありません。
コロナ対策を行いながら、より良い医療を提供出来る様に努力を続けていきます。
2020年度の出来事を振り返り、2021年度の目標などについてお話ししたいと思います。

1.常勤医師として富永先生が赴任

2020年5月から脊椎外科のスペシャリストである富永先生が当院のスタッフに加わって頂きました。2019年に29件だった脊椎手術は2020年、43件に増加しました。新しい手術手技として脊椎椎体骨折に対する骨セメント注入(BKP)、腰椎椎間板ヘルニアに対するヘルニコア注入などが導入され、脊椎外科治療における選択肢が増えました。(BKPに関しては2020年12月に富永先生がドクターズファイルに投稿している内容を参照してください
脊椎手術は危険なものという印象がありますが、各々の患者さんに適した治療を安全に提供出来るように尽力していきます。

2.変形性膝関節症に対するPRP療法が始まる

2020年9月から再生医療として認可が必要なPRP治療が当院にて開始されました。
今まで50件ほど行ってきましたが、当院での副作用報告は無く、治療効果も高い、良い治療であることを再認識しています。(治療内容に関しては2020年9月に武藤がドクターズファイルに投稿してある内容を参照してください)保険適応がないため身近な治療とは言えないPRP療法ですが、徐々に認知度が上がっている印象です。定期的に市民講座も行っています。ここ鶴ヶ峰から良い治療が発信出来るように頑張っていきます。

3.脊椎手術に加え、人工関節手術が増加に転じる

保存治療に抵抗する変形性関節症患者さんにとって最後の治療方法は人工関節手術となるケースが多いのが現状です。最後の切り札である人工関節手術を安全に提供出来るように環境を整え、2019年は人工膝関節16件、人工股関節21件の手術件数でしたが、2020年は各々34件、49件と増加しています。近隣のクリニックからご紹介して頂く患者さんも増えており、その期待に応えられるように診療に当たっていきたいと思います。またコロナの影響で外出する機会を奪われた結果、外傷手術は132件から93件へと減少しました。骨折された方が少なくなったこと自体は喜ばしいのですが、コロナ禍が長く続くと運動機能自体が低下し、いつか外傷患者さんが増えてくるのではと危惧しています。くれぐれも骨折に注意しながら、運動機能の維持に努めて下さい。また骨粗鬆症患者さんは骨折リスクが高いので治療の継続を頑張ってください。

4.土曜日外来診療が再開される

常勤医の巷間に伴って2019年7月から休止していた土曜日午前の外来診療が2020年7月から再開されました。診察に当たってくれるのは私の母校・順天堂大学整形外科の先生方です。週替わりで様々な専門分野で活躍されている先生方が来てくれています。大学病院レベルの診療を鶴ヶ峰病院で提供することは私が掲げている目標の一つです。その目標に力を貸して下さっている先生方に感謝しながら、2021年も土曜日診療を継続していきます。


2021年度もコロナとの戦いは続くと思われます。医療現場での混乱が連日のようにニュースなどで放送されています。その映像を見るたびに心が痛みます。当院ではコロナ患者さんの治療は出来ませんが、当院で行える治療を継続して行い、少しでも地域医療に貢献していく所存です。本年度も横浜鶴ヶ峰病院ならびに整形外科を宜しくお願いいたします。

横浜鶴ヶ峰病院 副院長 整形外科診療部長 武藤 治

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