『第113回 日本泌尿器科学会総会』加納医師

学会名 第113回 日本泌尿器科学会総会
日 時 2026年4月23日~25日
場 所 国立京都国際会館

2026年4月23~26日に国立京都国際会館で開催された第113回日本泌尿器科学会総会に参加してきました。

様々な領域の発表がある中で、今回はフレイル高齢者の診断・治療というテーマでシンポジウムやワークショップが開催されていました。
2025年9月の時点で本邦における65歳以上の高齢者の比率は29.4%と報告されており、間もなく30%に達しようとしています。その中で高齢者特有の病態に注目する必要性・逆に年齢だけでは一括りにできない高齢者を正しく識別して治療方法を決めてゆく必要性について議論されていました。

「フレイル・認知症と下部尿路機能障害」のシンポジウムではフレイル・認知症進行が尿失禁の悪化と有意に相関していることばかりでなく、逆に下部尿路症状もフレイル・認知症を進行させることが指摘されていました。この両者が双方向性の関係にあることは興味深かったです。

また、加齢に伴うフレイル・認知症の増加は転倒の増加の要因となりますが、多くの転倒がトイレに行く際に起こっていることが報告され、フレイル・下部尿路障害・転倒の3者がリンクしているという興味深い知見が提示されました。

「高齢泌尿器がん患者の至適治療を考える」ワークショップにおいて、まずはこの年齢層のがん患者に対するガイドラインが必ずしも確立していないことが指摘されていました。
多くの臨床試験では治療と直接関係のない高齢者特有の問題から生じる有害事象の影響を除外するため、どうしても母集団内の高齢者の比率が低くなりがちです。
また、参加される高齢者も標準的な高齢者よりはお元気な方が多く、高齢者一般に対する結論を出すには症例数が少なすぎるとの指摘がありました。
高齢者は同じ年齢でも身体的・精神的健康状態の個人差が大きいことから、Charlson Comorbidity Index,G8,modified frailty index などの質問票を組み合わせて治療に対する患者の耐容能を評価するいくつかの試みが紹介されていました。その中で、歩行速度が尿路生殖癌の術後合併症を予測する有意な独立因子であるという報告は興味深いものでした。

本邦における超高齢化社会の進行は回避できないものであり、高齢者の病態と治療方法の解析を進めてゆくことがますます肝要であると感じました。

横浜鶴ヶ峰病院 泌尿器科 加納英人

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