『第74回 日本泌尿器科学会中部総会』加納医師

学会名:第74回日本泌尿器科学会中部総会
日 時:2024年11月21日~23日
会 場:石川県立音楽堂

第74回日本日に尿器科学会中部総会に参加しました。
今回は転移性がん治療に関するセッションやシンポジウムが複数あり、現在泌尿器科領域で注目されているテーマの一つです。

筆者が泌尿器科に入局した1990年代から2000年第初めまで、転移性腎がんに対する薬物治療は効果不明のインターフェロン療法くらいしか存在せず、あとは転移巣を含めてがん病巣をひたすら外科的に切除することで患者の予後改善に取り組んでいました。

2000年代中頃に米国から数年遅れてVEGFR-TKI薬が認可され、転移性腎がんの治療の選択肢が広がりました。
そして2010年代半ばに泌尿器科がんに限らず癌治療の革命ともいえる免疫チェックポイント阻害薬(IO drug)が登場し、進行がんでも長期生存や治癒すら期待できる時代に入りました。

しかし、、IO-drugを軸としたコンビネーション治療は未治療の転移性腎がん患者にのみ可能であり、初回治療の選択が患者さんの予後を決定してしまいます。そのため、薬物治療のみならず、手術療法であるCytoreductive Nephrectomy ,Deferred Nephrectomy, 放射線治療も適切に組み合わせた集学的治療が鍵となります。

IO drug と TKI を組み合わせた IO-TKI 療法では初期から腫瘍縮小などの奏効率が高いことが期待できる一方で、複数の IO drug を組み合わせた IO-IO療法では初期の奏効率は劣るものの、長期に渡って効果が持続し、治癒する方までいるという特徴があります。これらの特徴から、どんな患者さんがどちらの治療から最も利益を享受できるのか、議論が行われていました。現在進行中の臨床試験の結果も待たれるところですが、少なくとも15年前と比べ、救われる転移性腎がんの患者さんが多数いらっしゃることは間違いないでしょう。
非常に勉強になる学会でした。

横浜鶴ヶ峰病院 泌尿器科 加納英人

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