『第120回 日本精神神経学会学術総会』倉増医師
学会名 第120回 日本精神神経学会学術総会
日 時 2024年6月20日~6月22日
場 所 札幌コンベンションセンター
先日、札幌で開催された日本精神神経学会学術総会に参加致しました。
その中でも、実際の診療場面でよく遭遇する「発達障害のグレーゾーン」について勉強して参りましたので、ご報告させて頂きます。
最近では、一般の方にも発達障害という病名が浸透し、職場の不適応等を理由に「ASDやADHDではないか」と診断を希望され受診されるケースも増えていますが、実際には診断閾下であることを多く認めます。
今や、休業の8割以上がメンタル休業と言われます。出勤している労働者の職場うつ、生産性の低下の背景に、発達障害と診断されないグレーゾーンの人たちが多数います。
スペシャリストや多様性を求める欧米と比べ、日本はどの業種でもマルチタスク、協調性を求められる傾向にあります。
講演の中では、発達障害ではなくとも、どんな人にも凸凹はあるとした上で、予防として適材適所(どんな環境を与えれば活躍できるか)、苦手な業務の免除、かわりに得意な仕事を積極的にこなすなどの対応の勧めがありました。
今後実際の診療の中でも、表面化している症状のコントロールは勿論ですが、予防や環境調整について出来る限り職場、産業医への働きかけを行っていければと改めて考える、とても貴重な時間となりました。
ヴェスタクリニック銀座 精神科医 倉増 瑛理子