『新型コロナウイルスと免疫・明日に向かって#1』

新型コロナウイルス

人類は是迄も幾度となく未知との細菌やウイルスの感染症と戦ってきました。今回の様に、社会に新しい病原性の高い新型コロナウイルスの広がり或は広がる際の変異(タイプが変わってしまう事)がとても詳しく、現在進行形の状況で調査されるのは人類史上初めての経験になります。しかし将来どんな変異ウイルスが現れるのかを予測するのは現在の所、不可能です(将来的には可能になる可能性が有ります)。一方、流行の期間が長期化するほど、ウイルスは猛スピードで増殖して、変異も繰り返し起きる事になります。変異によって、新しい機能を保持する事にも繋がり、更に病原性が強くなる可能性もあります。変異によって厄介な高い病原性ウイルス(重症化率及び致死率が高い)が現れるのを防ぐためには、流行の波を抑える必要が有るのは、その為です。

現在、今回の第5波の感染状況が急速に減少傾向にあります。必ずしもその理由は、よく判っていないのが現状です。①高齢者のワクチン接種がほぼ終了➡新型コロナウイルスに対する免疫が出来た➡感染予防効果と重症化率の低下(間違いのない事実)、②此方は仮説ですが、陽性者激増の際に、若者の適度な外出自粛及び自然免疫機能が高齢者に比べ高い事、が考えられるのではないかと私自身は考えています。感染率係数の明らかな低下傾向が認めら、即ち感染した人(PCR陽性者)から他の人への感染が抑えられています。若い人はワクチン未接種ではあるものの、若い方々の自然免疫機能によってウイルスが抑え込まれている可能性があるのではないかと考えています。ただし若い方がワクチン接種をしなくてよいと言っている訳ではありません。第6波を抑制する為及びウイルス変異を徹底的に抑え込むためには、若年者へのワクチン接種は必要必須条件です。

免疫

生命体が、病から免れる機能の事ですが、免疫現象は役者(細胞、抗体、免疫ホルモンと称されるサイトカイン等々)も多く、とても複雑です。判っている様で、万人にも共通する様な現象としては、残念ながら詳しくは分かっていません。

笑うと免疫が上がる、ストレスを受ける及び年齢と共に免疫が下がる事が知られています。此方は、自然免疫機能によるものです。一方、「ワクチン」の語源は英語「vaccine」からの外来語で、「牝牛」を意味するラテン語「vacca」に由来します。1798年にエドワード・ジェンナーが、牛痘を人間に接種することによって「天然痘」を特異的に予防できると実証したことに由来しています。現在、「ワクチン」は、疾患に対して特異的に免疫力を高めて予防(予防ワクチン)或は治療(治療ワクチン)する為に使用されています。此方は、特異的免疫機能によるものです。天然痘は先人たちの弛まない努力により地球上からは撲滅されました。自然免疫も特異的免疫も、何方も重要で、体内では超緊密に連携して、生命維持にとても高度に機能しています。

明日に向かっての10か条

此れから、ウイルスが感染し易い、大好きな冬に向かいます。取り敢えず、繰り返しになるかもしれませんが今直ぐにでも出来る事に努力して下さい。

①今後も不要不急の三密(密接・密閉・密集)は、出来り限り避ける。

②手洗い・マスク着用・嗽、は感染予防における、三種の神器。

③若い方もワクチン接種を、今冬前迄には、可能な限り接種を受ける。

④バランスの良い食事、質の良い睡眠を取り、免疫機能を健全に保つ。

⑤禁煙に努める(喫煙は、肺の慢性炎症の温床となり重症化リスクが高い)。

⑥規則正しい生活リズムを保つ。免疫機能低下予防。

⑦ストレスの多い生活を避ける。免疫機能低下予防。

⑧就寝時には、適度な室温・湿度の生活環境を保つ。免疫機能低下防止。

⑨適度な運動を心掛ける。免疫機能向上。

⑩正しい情報を得る。

止まない雨は、ありません。前を向いて、頑張りましょう。

此のコラムは2週間毎に連載予定。次回から、少し専門的に解かり易く解説したいと考えています。

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック 再生医療センター・免疫療法室長 矢野間俊介

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