『新型コロナウィルスワクチンの効果と副反応について』

新型コロナウイルスワクチンの高齢者一般市民接種が4月以降で調整されております。当院でも、個人接種をご希望の方を対象に、予約接種をする準備を進めております。予約方法に関しましては、横浜市の案内をもとに、当院のホームページでも随時情報更新していく予定です。

コロナウイルスワクチンの効果や副反応について、皆さま気になるところです。尚、今回のデーターはファイザー社ワクチンのものになりますが、日本でも医療従事者先行接種が始まり、今後新たなデーターが出てくるものと思われます。

●ワクチンの効果とは

ワクチンの効果には発症を防ぐ効果とは別に重症化を防ぐ効果も期待され非常に大きな価値があります。発症予防効果95%という非常に高い効果が示されています。ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが95%少なかったという非常に高い効果が報告されております。

注意することは、ワクチンで感染そのものを防ぐことではできずに症状の出現を防ぐことになりますので、無症候性感染の拡大を防ぐために、マスクの着用、3密の回避、こまめな手洗いは継続する必要があります。

●副反応について

接種部位などなんらかの副反応は半数程度の人にみられ、これはインフルエンザワクチンと比べても頻度が高いと言えますが、下記にある報告内容は許容範囲なものと思われます。

尚、アメリカでの報告によりますと、接種部位の痛みが最も頻度が高く(67.7〜74.8%)、だるさ(28.6~50.0%)、頭痛(25.6%~41.9%)、発熱(7.4%~25.2%)、その他として筋肉痛、接種部位の腫れなどがみられるようです。

また1回目よりも2回目の方が、それぞれの副反応が起こる頻度は高くなるようです。

●アナフィラキシー反応について

臨床研究ではワクチン接種群が対象群と比べて特にアレルギー反応が多いというわけではありませんでした。

アメリカでの接種結果では、およそ20万人に1人にアナフィラキシー反応が起こりました。インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は100万人に1人程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言えるでしょう。しかし、ペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こりますので、他と比較しても決して頻度が高いわけではありません。

アメリカでのアナフィラキシー反応の詳細として、約20%は過去にアレルギーを指摘されていました。また24%は過去にアナフィラキシー反応を経験したことがあったようです。アレルギーをお持ちの方は、接種するかどうか医師と相談して決めるようにしましょう。

●ワクチン接種の優先者について

厚生労働省ではワクチンの優先接種対象者について、医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する方を優先することにしています。

ワクチン接種が優先される基礎疾患とは、

・慢性の呼吸器疾患や心臓病(高血圧を含む)、慢性の腎臓病・肝臓病

・治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病

・血液の病気や悪性腫瘍など免疫の機能が低下する病気

・ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている方

・免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

・基準(BMI 30 以上)を満たす肥満の方、などがあります。

心配な方は、かかりつけ医に相談してください。

●最後に、

新型コロナウイルスワクチン接種は義務や強制でありませんが、基本的にワクチンとは推奨されるものです。しかし、どんなワクチンであっても100%安全なものは存在しません。ワクチン接種をするかどうかは個人の判断になります。ご自身の年齢や基礎疾患などから接種によるメリットとデメリットをよく理解したうえで接種するようにしましょう。

   

横浜鶴ヶ峰病院 副院長 診療部長 川又朋章

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