今日は、何するの?
新しい病気をWHOが認定した。ゲーム障害である。ゲームにとりつかれ、そのこと以外に考えられない状態になるそうです。そのため、人間における司令塔である前頭前野が働かなくなる。前頭前野は、人間においてとくに発達した領域である。日々の計画を立てる場所である。電車の中で時間つぶしにゲームをする、定年後の老人のゲームセンター通い、朝から夜までパチンコ屋にいるなども思考停止状態である。この延長に前頭前野の機能低下が待つと考えられる。
司令塔である前頭前野がやられる代表的な疾患としてアルツハイマー型認知症がある。能動性が失われる病気として有名である。入院しても、自分から口を開かない、ベットから動かない。もしあなたのパートナーが、朝から夜まで会話しないで、テレビを見ていたら、認知症の前兆かもしれない。
近年、イギリスで画期的なデーターが出た。国家戦略で認知症が、過去20年の統計で20%も減少したのである。日本では、現在、500万人で2025年には700万人を超える。イギリスの戦略は、脳血管障害、心臓病、腎臓病、糖尿病が、アルツハイマー型認知症への道を拓くとし、減塩・禁煙など血管病を抑制していく戦略である。もちろん糖尿病は、血管を痛める代表的な病気である。更に、早期診断・早期介入を実行している。MCIレベルの介入なら、可逆的データーがある。MCIは、mild cognitive impairmentの略で軽度認知障害の意味である。診断の仕方は、客観的な記憶障害である。休日に、息子夫婦が来たのに、息子はまだ来ないと言っている。誰でもわかる記憶障害である。
個々のアルツハイマー型認知症に対する戦略は、睡眠・食事・運動などでメタボリック症候群対策に酷似する。ポイントは、モチベーションの維持である。昔、高僧が死ぬ前に何を述べるかと思ったら、『死にとうない』と言ったと伝えられている。いまや私の周りの老人は、『早く死にたい』の大合唱である。これでは、どのような戦略でも失敗する。世界のTOPを走る老人大国日本である。周りの老人に『死にとうない』と言わせる私の戦略は、日本の歴史において最も長寿とされるお坊さんと同じ生活をすることである。
早朝起床し日差しを浴びながら走る、その後、精進料理に徹し仏教本を読み心穏やかにする。 どうだろうか。
横浜鶴ヶ峰病院 院長 石山泰二郎