『鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)』とは?

”鼠径(そけい)”とは、太ももの付け根の付近に、子宮円索や精管、血管が通る細い場所があり、形からねずみ(鼠)の通り道(径)と名付けられた言われています。”ヘルニア”とは、あるべき位置から移動し、脱出した状態を指します。”鼠経ヘルニア”とは、太ももの付け根付近まで、お腹の中の腸管が脱出している状態です。いわゆる”脱腸”とも、呼ばれています。

まれに、脱出した腸管が戻らなくなると、腸管の血流が低下し、穴が空いてしまう事があります。力んでお腹に圧をかけないように、重いものを持たない事や便秘を改善することも予防の一つですが、いつ起きるかは予測が困難です。緊急手術、長期入院となり、仕事や生活に支障が起きる場合があるため、手術をお勧めしています。

鼠径ヘルニアの手術には大きく2つの種類があります。
一つは、従来の鼠径部を5cmほど切開し、ヘルニアの場所に、補強財となるシートを固定する方法です。全身麻酔が厳しい患者様にも対応可能ですが、手術直後に傷の腫れや痛みが強くなる場合があります。
もう一つは、腹腔鏡を用いて、お臍に約12mmと下腹部の2ヶ所に5mmのポートを挿入し、お腹の内側から腹膜を切開して、シートを固定する方法があります。傷が小さいため、痛みが少なく、より早い社会復帰が可能になりますが、開腹手術や泌尿器科の手術をされた患者様には、お勧めできないことがあります。
入院期間は手術の前日に入院し、4~5日ほどです。当院では患者様の病態に応じて手術を選択しております。お気軽にご相談ください。

横浜鶴ヶ峰病院  副院長 幡谷 潔
横浜鶴ヶ峰病院  低侵襲内視鏡外科治療センター副センター長 水上 博喜

新着情報一覧へ戻る