Q.『ピロリ菌って怖いんですか?』
A.ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌です。子供の頃に感染し、一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌に感染すると、炎症が続きますが、この時点では、症状のない人がほとんどです。しかしながら、放っておくと胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼びます。
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎を引き起こし、その一部が胃がんに進行していくと報告されています。1994年にWHO (世界保健機構)は「ピロリ菌は胃がんの原因である」と認定し、2014年には「胃がん対策はピロリ菌除菌に重点を置くべきである」との発表を行っています。がんの中で発生する確率が高く、男性の14人に1人、女性の10人に1人が胃がんと診断されており、がんの種類別の死亡者数は男性で第2位、女性で第4位と報告されています。 (2016国立癌研)保険適用でピロリ菌の検査・除菌療法を行うこともできますので胃の調子が悪ければ、一度ご相談ください。
横浜鶴ヶ峰病院 内視鏡センター センター長 瀬戸口 正東